2003-08-01から1ヶ月間の記事一覧

花輪和一『ニッポン昔話』 (2001 小学館)

桃太郎御一行様が鬼退治の凱旋からいきなり始まってしまう「桃太郎」。掲げられた鬼の生首がひどく凄惨で、犬も猿も傷ついている。が、嵐の日にその花輪桃太郎は流れてくる。桃の形をしたカプセルに入って。 裏の畑でシロが鳴く。と、掘りかえさなくても遮光…

内田春菊『水物語』  (88 光文社)

うーんと、男がこれ読んで、オレってこんなんじゃないよなぁって思ったら、ヤバいです。はい、白状します。ボクはこんなんじゃないです(自爆) でもなぁ、『ファザーファっカー』なんだよなぁ、そんな虐めてくれんでも(と、どこかでそういうふうに虐めてほし…

蛭子能収『なんとなくピンピン』 (1983 青林堂)

古本屋で3000円からの値段がついてんだって。3000円出して読みたいってもんでもないなぁ(^_^;A で、ボクのはBOOKOFF100円! こういうのって、自分的価値観以上に儲けたという気がする、というのがなんとも小市民的でいいでしょ。 これが単行本になって出たの…

ひさうちみちお『山本さん家の場合に於るアソコの不幸に就て』 (1982 プレイガイドジャーナル社)

ぶっつりぃ〜〜聞いただけで鳥肌出るわぁ〜〜〜〜(+。+)アン 数式をほとんど全く用いず、例えば、m=m0/sqr(1-(v/c)2) などと見ただけでも泡噴いて失神してしまいそうな数学まったくわっからへぇ〜〜ん、という人にも。 あ、あんなぁ、ぼ、ボクなぁ、運動方程…

古屋兎丸『palepoli』 (1994 青林堂)

マジな顔していて突然ブフっと噴きださずにはいられない。 例えばね、子どもがクワガタの勝負をさせてる。そのクワガタの一方がキリストなんよ、当然のことながらキリストクワガタは本クワガタのハサミにぎゅうううっと挟まれて負けてしまうのだが、「そのク…

丸尾末広 CD-ROM版『少女椿』

全編カラーになってコマ送りしてくれて、お囃子がついた。色着けはいいんだけどね。あと音などもいいんだけど使い回しが多すぎる。 3Dムービーたってね、3Dグラフィック下手だもん。丸尾泣きますよ。あの3Dみどりちゃんでは我慢できねぇーーーーつうの。「画…

唐十郎『調教師』(1979 中央公論社)

「調教師」「三銃士」「探偵物語」の短編3編。いつもながらの唐十郎独特の世界。「探偵物語」が一番おもしろかったかな。唐の芝居と同じようにいくつかのイメージが錯綜。唐の小説の中では「」付き、つまり話し言葉が多くて、かなり戯曲に近い。言葉遊びっ…

山本直樹『極めてかもしだ』 1〜3   (太田出版)

「スケベで傲慢で自己顕示欲が強くて狡くて身勝手で妄想癖があって思い込みがはげしく」たっていい、「おれは雪がつもるとむしょうに雪ダルマを作りたくなる男だ」と胸張って言えるなら。 山本直樹のはほかに『フラグメンツ』しか読んでないけど、この「かも…

篠原勝之『糸姫』 (1983 青林堂)

原作=唐十郎。1975年9月の状況劇場の『糸姫』の原作。 ボクが篠原勝之をはじめて知ったのは、やっぱり状況劇場のこと。状況劇場の芝居のひとつの頂点だと思う74年の『唐版・風の又三郎』のポスター、それから戯作本の装丁もこの篠原勝之ことクマさんだった。…

花村萬月『セラフィムの夜』 (1994 小学館)

「しかし、哲学してしまったら、私の負けだ。あくまで小説。それもエンターテイメント。そんな気でいた。」とは著者のあとがき。 が、その意気に反して、「半分日本人(パンチョッパリ)」でしかなかったなと思えてしようがない。ポルノにもなれそうでなれな…

明野照葉『棲家』 (01 ハルキホラー文庫)

ボクはすぐにえいきょうされるというか、はまりやすい性分なのでね、こういうの読んだらヤバいわけ。霊なんてのは自分では視えないからね、信じてないわけぢゃなくて、ホラーだとか、オカルトだとか、これまでテレビなんぞでやってるのはいかにもヤラセ臭く…

ウィリアム・バロウズ『ゴースト』 (1996 河出書房新社)

正直に白状しておきますが『裸のランチ』は2度チャレンジして2度とも挫折。あんなもん理解るわけないだろーバーロ〜〜ぉズ(すいません、サブいです) でも性懲りもなくまた買ってきただよ、2000円なり! まともに買うわけないでしょ、どうせまた挫折するに…

唐十郎『幻想劇場』 (1997 朝日新聞社)

あん?だから何が言いたいの?っていうのが唐十郎ワールド・・・・はまる人ははまる。はまらない人にはさっぱり何がおもろいんだか。あえて言うておきますが、 芥川賞作家・唐十郎の書く小説は面白くない。をっとぉー、言うてしまったね(-.-;) えーっと、やっ…

荒俣宏『ゑびす殺し』 (1990 徳間)

88、90年に主に「SFアドベンチャー」に掲載された短編『ゑびす殺し』、『長生譚』、『迷龍洞』、『蟹工船』、さらに書き下ろし『恋愛不能症』の5編からなる短編集。「あとがき」にもあるように、順に、幸田露伴、夢野久作、五木寛之、小林多喜二、森鴎外,渡…

藤沢周『愛人』 (2000 集英社)

「・・・・・・オシッコ・・・・・・、かけて」ハイ、帯にそう書いてあったので、買いました。 「・・・・・・私って、変態、かな・・・・・・?」と、いきなり始まって数ページでこの帯の話が出てくるんだけれど、ををっをというのも最初のうちだけ。もうい…

南伸坊『李白の月』(2001 マガジンハウス)

『仙人の壺』の姉妹編。『仙人の壺』に比べて淡々とした話が多い。『仙人の壺』でとっておきのおもしろい話を出してしまったからか。ふっとほりだされるというのはわかるけれど、これといって決定打となる話がない。その中でも「耳中人」が好き。落ちがいい…

中井英夫『人外境通信』(平凡社 1976)

13編の短編からなる連作。薔薇、此岸と彼岸の倒錯など『幻想博物館』からつながる中井英夫特有の幻想世界。ただ、一連の作品としてはまとまりがあるようでまとまりに欠けるような気がしないでもない。そこのところは中井英夫自身があとがきで「さりげなく…

ベン・シモンズ『東京欲望』 (2000 小学館)

パッと見におもしろそうなので図書館で借りてきたけど、どこかちがう。演出された偶然性、偶然性の演出というのは、こと写真に限ってはつまらない。スリルがないんだよ。 例えば最も目をひく一枚(表紙にも使われている)に、旭屋書店のカバーをつけた本を読…

澁澤龍彦/嚴谷國士『裸婦の中の裸婦』(1990 文藝春秋)

1986年文藝春秋に連載されたもの。9編まで連載したところで、澁澤は咽喉ガン入院手術。澁澤自身の依頼で嚴谷が残り3編を書き継いだ。ヘレニズム時代「眠るヘルマフロディトス」、ブロンツイーノ「愛と時のアレゴリー」など、澁澤の審美眼は相変わらずのさ…

早川雅水『パリの横丁・小路・裏通り』(実業之日本社 2000)

今回はガイドブックはほとんどすべて図書館で借りて済ませた。まぁどれもこれも同じような観光地とブランドショップの紹介ばかり。それでも夏のシーズン前になるとかなり貸し出し中で、そこに残っていたのがこれ。ブランドショップの紹介、いっさいなしの、…

森山大道『犬の記憶』(2001 河出書房新社)

アサヒカメラに同名の写真エッセイとして連載されたものだけれど、記憶を焼き付けて行くことの葛藤が痛いほどよくわかる。ケルアックの『路上にて』に触発されて旅に出て写された写真はまさに点景ではなく線景。パッと見ればどこがいいんだかさっぱりわから…

藤沢周『礫』

「沸点の低い怒り」というのがぴったり、怒りとも諦めともとれるような鬱々とした生き様。それらを裏打ちする職業や恋愛といったアイデンティティを失おうとすることによってアイデンティティを得ようというのは、どういうわけだかよくわかる。そして失おう…

上村一夫『菊坂ホテル』(角川書店 1985)

竹久夢二、谷崎潤一郎をモデルにはしているが、ボク的にはいまいち。上村の場合、男を中心に描くより女中心に描く方が情感が漂っていい。菊池寛、芥川龍之介なども登場するけれど、大正浪漫をネタにしたからといって特筆すべきことはない。 それとこれは何年…

上村一夫『鹿の園』(2002 ソフトマジック)

鈴木則文原作。『鹿の園』ったらノーマン・メイラーでしょ。それに上田秋成の『蛇性の淫』をからめたらしい。が、どろどろしているようですこすこ。連載が76年「漫画ジョー」だったからか。ほかの上村のに比べると、情感というものにすごくとぼしいように思…

安岡章太郎『私の墨東綺譚』(1999 新潮社)

図書館で借り出したら、痛みがひどかったので、てっきりずいぶん前の出版かと思ってたら、97年にWEB新潮社で連載してたものを本にしたものという。著者が安岡章太郎だから、読みやすく、しかも無理に背伸びしたように書く必要(奇を衒った論考を持ちだすとか…

吉行淳之介『暗室』(1970 講談社 / 1988 講談社文芸文庫)

細かい断片をつなぎあわせて、大きな流れを作っていくのはさすがとしか言いようがない。暗い翳に覆われた性描写は淫靡で、ポルノ以上にはるかにリアルな情景を喚起させる。つまり勃ってくるのだよ。濡れてくるのだよ。20030606 Fri

堀江敏幸『郊外へ』(1995 白水社)

『ライカ同盟』の中で高梨豊がちょっと触れていたので、あわてて図書館で借り出した。 パリ近郊のほとんど聞いたことのない地名がずらずら出てきて、しかも唐突に聞いたことのない、たぶん邦訳もないような本の話が出てくるので、とてもとっつきが悪いのだけ…