2004-01-01から1ヶ月間の記事一覧

谷崎潤一郎『金色の死』

40ページほどの初期の短編。のちの谷崎の耽美世界の原点。それ以上に、三島由紀夫が心に描き出そうとした、夢想した、藝術の出発点。ということを聞いていたから、行き着く先はおのずとわかってしまったのだけど....(1914) 扉を開けて這入つて行つた私は、暫…

三島由紀夫『假面の告白』(1949 河出書房)

左が「ゼノアのパラッツォ・ロッソに所蔵されているグイド・レーニの「聖セバスチャン」」。右がのちに三島自らがモデルとなり篠山紀信撮影により『血と薔薇 創刊号』の巻頭となった写真。『假面の告白』第二章にはグイド・レーニの「聖セバスチャン」の仔細…

町田康『実録・外道の条件』

「ダ・ヴィンチ」に1998〜2000年にわたって連載。エッセイとも小説ともつかぬ、いつもの町田節(←黒田節か(..;))。 プロモーターや編集者などのいわゆるギョーカイ人をぶった斬り。痛快、爽快、そうかい、そうかい。 文句なしにおもろい。様田烏賊子、富山し…

村上龍 『オーディション』

スクリーンではSandra Bullockが逃げ回っている。俺の目はそのスクリーンから何度も右隣に坐った女の右手のウーロン茶の紙コップに移動していた。さっきから目の前の映画よりそのウーロン茶の紙コップに興味が移ってしまっている。きょうで会うのはまだ4回…

滝田ゆう『寺島町奇譚(全)』

『寺島町奇譚』(1980 青林堂)、『ぬけられます』(1980 青林堂)を合本。元は「ガロ」に1968〜1970,「別冊小説新潮」1972に掲載された。 滝田ゆう版『墨東綺譚』、というか永井荷風は玉ノ井に通ったのだが、昭和7年、滝田ゆう自身が玉ノ井に生まれ、終戦の13…