2003-12-01から1ヶ月間の記事一覧
1980〜82に増刊ビッグコミックに掲載された『ヘイ!マスター』は、ゲイバーのマスターが裏仕事人として活躍するが、ヤクザの矢島の方が存在感あり。でもやっぱり上村一夫の場合、女を中心に見てしまうのはボクの悪い癖か。 1982年、近代麻雀オリジナルに連載…
退屈。贋金だからかの千円札事件につながるのはまだしも、トマソンから抜け出せないのは、さすがに退いてしまう。巨人のトマソンがどうたらとか余計なんだよね。 『超芸術トマソン』の一節「ビルに沈む町」で紹介された天徳湯の無用エントツが異界への通路と…
女が、というより、女だけでなくむしろ男が、超えていくためには、どうしても抜け出さなければならないことがある。そしてそれは必ず破壊をともなう。 森瑶子は、ほんとへたすりゃハーレクイーンにとどまってしまうような食材をもとにして、とびきりのご馳走…
「恋愛物語」1〜6,「タラチネ」、「ゆめのはなし」、「頭痛の種」、「わずか10センチ」の短編集。 いわゆる少女漫画からもうちょっとアダルトにシフトしたあたり。全然、作風や時代背景なんてものはちがうけれど、上村一夫の『同棲時代』などに通じるか…
副題が『天才アラーキーの「いい女」論』 写真論なんてのはもう軽く跳び越えてしまって、副題通りの「いい女」論。で、そんなのも超越してしまって、「いい人」論。「いい人」なんていうとマヌケだけれど、例えば、引用した部分を「自分でもバカで、欠点があ…
全編が語り下し。つまり編集が横尾と対談というか、質問していくのを、横尾がしゃべりまくったのを記録したという本。がががーっと調子のってしゃべりまくってるところもあるんだけれど、意外と別にこんなこと横尾じゃなくってもPHPオヤジがよう言うとるやん…
路地はソウルの町にもあった。そしてソウルの路地に龍造が生きていた。ところで中上の小説群はとにかく男が目立つのだが、実のところ女系家族にがしっと支えられている。そしてこの『物語ソウル』でも、龍造の存在を継いでいくのは女なのだった。 一方、荒木…
『写真への旅』(1976 朝日ソノラマ「現代カメラ新書」)を加筆修正 元は1976年の発刊だから、中に写っているアラーキーのお姿もずいぶん可愛く、髪もけっこう残っている。「私写真」の原型はすでにこのときにあった。 写真とは、ファインダーの中での肉眼戦に…
17歳の女子高生がある日、突然、40いくつだかのオバサンに"スキップ"する。それは25年先の自分。時代は昭和から平成に移ってしまっているのだ。と、大林宣彦の尾道三部作のようなファンタジー。いや、ファンタジーというには主人公・一ノ瀬真理子にと…
ついこないだ、是枝裕和監督の『幻の光』見たところだから、江角マキコの印象が残ってて。やっぱり映画見るより先に原作は読んでおくべきね。 それはそれとして、この頃の宮本輝っていいね。ゆみ子の関西弁の告白文体で、『錦繍』とはまた違った趣があって、…
ちょっとヘタすりゃ鼻持ちならない話を、文章の隙間から噎せ返るような熱帯の熱気と湿気、その気怠さ、頽廃を手品のように出してしまうんだから。サスペンスでありながら、ただのサスペンスにしてしまわない、いやほんとへたすりゃ火サスになりかねないんよ…
韜晦写真論ー「無論100%」 凡人にかかれば「沈黙は金、雄弁は銀」かもしれないけれど、天才アラーキーの雄弁は白金、回路の日和なのでR。いやぁ、おもしろかったなぁ、400数十ページほぼ一気に読んでしまった。バンパイアなみに俄然インスパイアされちんこ…
女であるからこその醒めた視点でとらえられた「傷」を突きつけられては「センチメンタル」な男に勝ち目はない。それ以前に勝負にならない、悔しささえ湧き起こってこない。モノクロームの怜悧な刃物。 石内都自身の『横須賀』『連夜の街』『1・9・4・7』を中…