横尾忠則『芸術は恋愛だ』

maggot2003-12-13

 全編が語り下し。つまり編集が横尾と対談というか、質問していくのを、横尾がしゃべりまくったのを記録したという本。がががーっと調子のってしゃべりまくってるところもあるんだけれど、意外と別にこんなこと横尾じゃなくってもPHPオヤジがよう言うとるやんか、と興ざめする箇所もちらほら。読み終わってから気がついたんだけど、出版がPHP出版か。誘導尋問か(笑)
 ボクにとって、横尾忠則ってのはミステリアスであってほしいんですよ。UFOやら、天界だとか、ある意味、ボクは好きではないけれど、そのほうがずっとおもしろい。
 三島由紀夫寺山修司ジョン・レノンら人との出会いは、これまでに何度か見聞きしてるけれど、やっぱりスリリングでおもしろい。

 もちろん、アーチストにとって恋愛というのは、必要不可欠で非常に重要なことだと思うね。やっぱり女性というのは、アーチストにとって霊感の源泉だからね。そう、女性は霊感の装置だね。そんな女性を通じてアーチストの内部にインスピレーションが送り込まれてくる。そういう媒体として非常に重要な存在だと思うのね、女性は。
 人間の中には男性原理と女性原理があって、自分の中にある女性原理と自分の中の男性原理との恋愛関係が成立することによって創造が誕生するわけだからね。自分の中の女性原理と男性原理が恋愛しちゃう。そうした場合、本体である自分が自分のことをすごく好きになれる。大抵の人は自分のことを嫌いなんじゃないかな。

(1992 PHP) 
『ぼくは閃きを味方に生きてきた』(光文社文庫) に改題