蛭子能収『なんとなくピンピン』 (1983 青林堂)

  古本屋で3000円からの値段がついてんだって。3000円出して読みたいってもんでもないなぁ(^_^;A で、ボクのはBOOKOFF100円! こういうのって、自分的価値観以上に儲けたという気がする、というのがなんとも小市民的でいいでしょ。
 これが単行本になって出たのが、83年頃ってのは、確かいわゆる「へたうま」が流行ったころ ― 2チャンネルのスレなんかではもう曲解されまくってるけど(-.-;) ― 確かに蛭子の絵はお世辞なりにも上手いとは言い難い。を、これなら、オレでも書いてやるぜ、とか思ったら大間違いで、漫画一本を通してのへたうま加減には、誰もあんな馬鹿くさいこと思いもつかないだろ。へっ、これの何がおもろいのん?と、コンビニ少年らからは返ってくること間違いなし。そのときおじさんは寂しく「あむないやろ」としか答えようがないです。
 『スチャラカ社員』なんてアホくささ100%を通り越してあぶなすぎ。屈折まだきの健全なる青少年にはちょっと薦められない。どっかで5回ほど豆腐のかけらに頭でもぶつけてからにしましょう。
 『地獄のサラーマン』の妙に現実をカリカチュアしてしまってる。なのに「エエじゃないか」の蛭子流大団円さえ今じゃなくなりつつあるのがちょっとさみし。
 あとエロもんでは、出てくる女はまったく色気無し―「こんな女じゃ勃たねえよ」by 春菊 ― 抜き用に書いてるわけじゃないんだから仕方ないけど、マジ勃ちません。が、やっぱりよくこんだけバカ考えられるかと思うと脱帽。脱糞。
 タイトルの『なんとなくピンピン』はやっぱり田中康夫の『なんとなくクリスタル』(80年 芥川賞)なんでしょね。

20021020 Sat