澁澤龍彦/嚴谷國士『裸婦の中の裸婦』(1990 文藝春秋)

 1986年文藝春秋に連載されたもの。9編まで連載したところで、澁澤は咽喉ガン入院手術。澁澤自身の依頼で嚴谷が残り3編を書き継いだ。ヘレニズム時代「眠るヘルマフロディトス」、ブロンツイーノ「愛と時のアレゴリー」など、澁澤の審美眼は相変わらずのさえわったているのに、ほとんど絶筆に近い著作のせいか、澁澤の著作中ではことのほか読みやすい。

20030203 Mon