村上龍『ライン』

maggot2003-11-01

 20人のダークサイダーがすれ違うかのように繋がっていく。そのこと自体が1本のライン。ひさびさの村上龍節を読んだような。あ、でも『トパーズ』『ピアッシング』『白鳥』なんかの流れだよな。ラストの「人間は他人によって自分を確認している」

SMの仕事をやるようになって、そういう性格は少し直った。相手にもよるが、あまり悩むことなく話ができるようになった。それでも敬遠したくなる人間のほうが多い。ゆかりには自然に話せそうだったが、自分がどういう基準でその人を判断しているのかはわからない。優しそうな人だから、などということは判断の材料にならない。第一、優しそうな人はこの世の中に無数にいるが、そういう人はいつか必ず優しくない態度をとるものだ、と順子は幼いころの経験で学んでいた。順子は、優しそうな態度の人間を絶対に信用しないことにしていた。

1998 幻冬舎 
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