坂東眞砂子『蛇鏡』

 やっぱり基本的にホラーってのは嫌いじゃないけど好きじゃない。怖さというのは人間の潜在的に底に流れている情念やアンビリーバブゥな行動のほうが怖いわけで、それを蛇神などに一元的に被せていくのは、その怖さを忌避するためのもののはず。したがって怖くなくなってしまうんだよな。祟りなんてあるようでないと思っているボクには、よくできた物語であっても、よくできすぎていればいるほど怖さから離れていくと感じてしまうのだった。しかしこういう類の本というのは斜め読みできるから楽でいいやね。

20030610 Tue
1994 マガジンハウス