真崎守『はみだし野郎の挽歌』

 思いきり70年代的臭さがぷんぷん漂う。たとえば
「国境の長いトンネルを抜けると」
「そこにはまたトンネルが続いていた」
なんてその典型。さすがに「ご時勢だもんネーッ」と受け流しはしているけど、そのご時勢を思いだすと恥ずかしくもなる。
 これはたしか『ながれ者の系譜』かの連作の最後にあたったはずで、最後にはどんどん主人公達は消えていく。そのあたりも、なんとも「死に様」を意識した70年!で、たぶんバブリー世代には相容れないものがあるだろうな。

20030103 Fri
1971 三崎書房