『狂った生きもの』

 

生きるということ。そして死ぬということ。誰一人そこから逃れることはできない。私たちはこの世界にたった一人でやってきて、立った一人で去っていくのである。そのほとんどが寂しく、おびえて、人生の大半を無駄に送るのだ。……いまこうして生きていても、死はかならずやってくる。生まれたばかりの子供らだが、やがて憎しみをおぼえ、痴呆になったり、ノイローゼになったり、馬鹿になったり、弱虫になったり、人殺しになったりする。生きたって死んだって、どのみち無ではないか。