団鬼六『不貞の季節』

廣木隆一監督で大杉漣主演の映画『不貞の季節』の原作。 団鬼六の自伝小説ではあるが、どこまで本当だかどうだか。妻が自分の部下と不倫してしまって、それをその部下自身から聞かされる。聞くことによって、自分自身をサディスティックに責めていく自虐性。どっちかというとS、日本のSMの元締め=鬼六先生だが、ずばりMだな。Mだからこそ、『花と蛇』のようないわゆるSM文学となるのだな。 原作を読むと、男のM性を中心に描かれていて、映画でも大杉漣を軸に描かれていたのは、あながちまちがってなかった。だけど、原作のほうが鬼六自身のM性はずっとはっきりしてるな。