甲斐扶佐義『ぼくの散歩帖 地図のない京都』(1992 径書房)

maggot2004-07-01

この前、京都出町柳ほんやら洞に行ったとき、たまたま甲斐さんが居合わせた。ちょうど一緒に行った猫好きの彼女に甲斐さんの『猫ノ泉』をプレゼントしたところだったので、「サインしてもらい」と勧めた。
甲斐さんに「サインお願いします」と頼むと、彼は、静かに少しはにかみながら、「いいですよ」と言って、「こんな本もあるんですよ」と何冊か、出してきてくれた。その一冊がこの『地図のない京都』
ボクの好きなコントラストのきつい写真が並ぶ。他の写真集にも収められているのも何点かあったが、他の写真集にくらべて、この『地図のない京都』はよりコントラストが強く上がっている。
写真一点、一点に、彼自身の短いコメントが添えられている。ぼっとなにげにほりだされた写真には、演出などが排除されていて、それは目の前にいる少し照れ気味の甲斐さんの人間をよく表している気がした。あまりの演出のなさは、まるで甲斐さんが京都のユジューヌ・アジェのような印象さえうけてしまう。わらび餅売りの夫婦の写真、こんなのアジェにもあったよな。
ボクはバス停でバスを待つ大原女三人並んだ写真が好き。
そうそう、この『地図のない京都』は、その彼女が『猫ノ泉』のお礼に、その場でボクにプレゼントしてくれたのだった。

 → 甲斐さんの本は、ほんやら洞のサイトから直接注文できます。