綿矢りさ『インストール』
綿矢りさが『殴りたい背中』で芥川賞をもらうまで、その存在なんか知りませんでした。その彼女のデビュー作。去年あたりの作品かと思ったら、2001年、17歳のときの作品。しかも文藝賞も受賞してる。約3年ちょいで、なんと42刷。どこでいつの間にか売れてたんだぁ。意外と活字離れが進行している高校生なんかの間で読まれていたのか。でも単行本で1000円だろ。そして数時間もあれば読みきれる。うーん、ここらのいまの若い子たちのバランスってのがいまひとつつかめない。ま、かつて太宰治を志賀直哉が酷評したようなものなのか。
文章力としてはまだまだ稚拙だけどね、なんて言うと、ますますもって、太宰治の志賀直哉になってしまう。かずよしが小学校6年生という設定にもかなり無理っぽいけれど、酒鬼薔薇クンのことを考えると、かくあっても不思議じゃない。おじさんたちが知らないだけ。むしろおじさんのほうが純情なんかも。
《女子高生と小学生が風俗チャットでひと儲け 押入れのコンピューターからふたりが覗いた 「オトナの世界」とは!?》
この帯自体もオトナの側からの言葉なんだろな。
ぬれた。一つHな言葉を書かれるたびに、一つHな言葉を書くたびに、下半身が熱くたぎって崩れ落ちそうになり、パンツが湿った。その会話の内容に感じるというより、自分が今やっていることの不健康さに感じてしまうのだ。昼間に他人の押入れの中で制服着たままエロチャット。かずよしに、あんたはなんでわざわざこんなお古のコンピューター拾ったの? お金なかったの? と聞いたら彼は、お金がどうとかじゃないです、なんていうのかなあジャンクのコンピューターを使って押入れでぼろもうけ、そういうのに憧れたからでしょうか。と答えたけど、そのかずよしのこだわりが効いているのか、この押入れの仕事場は変に情緒がある。その薄汚いロマンの雰囲気に押されぎみだった私は、