辻邦生/小瀧達郎『私の二都物語?東京・パリ』

辻邦生は、一度読んでみなければと思いつつ、いまだかつて読んだことがなくて、何とも言えないのだが、堀江敏幸と同様にいまいちいいのかどうだかよくわからない。文章が難解という意味ではなくて、むしろこの『私の二都物語?東京・パリ』は平易だよな。
彼が住む東京とパリを対置させたそれぞれの都市論・文化論。曖昧化を強調する東京と、「すべてが明確で、実際的で、納得ずく」のパリの対比にはなるほどと思えるが、「マリ・クレール」という雑誌への連載だったからか、もう一歩の切り込みがなく物足りない。へたすりゃ観光案内然としたところもあって、そういうぶところは退屈。ちなみに小瀧達郎の写真はボクは好きじゃない。

(中央公論社 1993)